2016年9月23日金曜日

母は、妖怪

 母は、自分が糾弾されているその矢をたくみに捻じ曲げ、自分の主義主張にすりかえるのが異常にうまい。意識しているとはとても思えないのだ。だから私はこれを、「異様な才能」と呼んでいる。

 子供のころの手伝いについて、私が子供のころには反論できなかった手伝い作業。兄弟として不公平だったことについて、昔こうだった、と母に話していた。いまさらだけどすごい不公平な親だったと。

 「私だけ」、お風呂を沸かしたり(昔ながらの「お釜」に、マッチで点火する古いタイプ。種火の点火後にレバーを開くと、火が複数の点火口ごとに燃え広がり、釜の中を水が循環して温かいお風呂になる。これを兄が時折開いたままにして、私が風呂沸かしのときに気づかずにマッチを近づけ大爆発。二回ほどまつげが焼け焦げ、ひどい思いをさせられたのは忘れない・・。しかもたしか、小学校高学年からやらされていたかも。なぜ、母がこれをやらず、私だけにさせたのか。)、また、風呂沸かし以外に、縁側の木の板を雑巾がけさせられたり、洗濯物干しもさせられた。

 私は、昔は本当にボーっと親のいいなり(自分の意見がないとも言う)の、良くも悪くも親にとっては素直ないい子だったので、母からはとても言いやすかった。それに対して、兄に対してそういうことを仕込むのは、母としては抵抗があったようである。
 男の子だし、一から教えないとできないと。さあ?それだけか?反発されるのも面倒だったとか?それにしても、言いつけが「面倒だったから」やらせなかったというのは、よくわかった。

 昔ながらの家長制度とか、跡取りだから家事はやらせないとか、兄弟の仲にも序列がある、とかそういうしきたりがある中の不公平なら、ある意味では仕方ないが、そうではない。だから不公平だと思って最近その話をしたのだが、案の定、母は、私にそれだけやらせたことは、すっかりさっぱり、忘れている・・。

・よく物忘れする
・面倒だと思ったことは、必要であってもできない場合がある。(周囲に迷惑がかかり、サボリ病だと勘違いされることがある)


 が、驚くべきは、そこからの論点のすり替えである。私が「めんどくさいから、結局やらないんでしょ。自覚がないと、いろんなことでずっと進歩しないよそれ。」と問い詰めたら、「うーん、結局さ、そういうことって、一からやらないといけないってことなのよね。やるとしたらさ。」

 母がきちんとしてくれなくて困ったと言っているのに、一般論にすりかえ、攻撃を外しにきた。そして、さもこれからがんばるぞ!(もう終わってるし。)みたいなポーズをとられても・・。

 しかしそこには、そうそう、一からって大変なんだよ、と言わせんばかりの巻き込み力がある。
 母に非があることを追求したかったので、私にはかろうじて効かなかったが、油断していると丸め込まれそうな妖力があると思う。


(以下、皮肉ユーモアな図説です・・)
(水木しげる妖怪画、名前はどうもこうも、のようであるが)この場限りの名称をつけるなら、妖怪・お話超展開、としたい。自分への注意や咎めを一般論に総入れ替え。ずっコケた相手の心のわずかなスキが、この妖怪の付け入り所。
すかさず念力を送り、自分理論でマインドコントロールを始める、ある意味とてもやっかいな妖怪。
(図説を入れるとすると・・; 向かって右側の穏やかな表情で相手の話を聞いているようにも見える。ところが途中からいきなり、左側の顔が本性を現す。)

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